りょうけん座の銀河。りょうけん座と言うと一般にはなじみの薄い星座だが、大まかには北斗七星のひしゃくの柄で囲まれたあたりの領域になる。このあたりは春の空で銀河や球状星団が多いが、このM106もその中にあって比較的大型の銀河だ。Wikipediaによれば8.4等、長辺11分角で、距離2500万光年らしい。
この銀河は立派な一対の腕を持っているが、実はそれだけではない。ハッブル宇宙望遠鏡による可視・赤外の合成画像では、さらにもう一対の赤色の腕が見えている。(実は本HPの写真でも彩度を上げて強調すれば見えるし、なんなら強調しなくても心の目でギリギリ見える。)この赤い腕は、銀河の中心にある超大質量ブラックホールによって周囲の物質がかき回されていることによるものらしい。
2022/2/28撮影、岡山県東部。ATLUX + C11(F7.5) + 6D改(HKIR)、IDAS LPS-D1、1min × 202 = 3h22min、ガイド鏡+M-GENによるオートガイド。画像処理前でFWHM=2.4″とまあまあ。恒星のみFWHM上位25%の画像を使用、銀河中心の高輝度部は逆畳込み。ラッキーイメージングと逆畳込みは「光量を分解能に変える」と言う点では共通だが、Sub露出時間1minの選別画像と全数スタックの逆畳込みを比較すると逆畳込みの方がかなり良かった。まあ1minだから、Shift & add は効かなくはないが効果がかなり薄いのは仕方ない。
以前に「寒いとミスが増える」と書いたが、今回もバーティノフマスクの外し忘れで50分を失った。真面目に撮ってたところでこれは結構痛い。後悔するくらいなら現場で丁寧にやればいいのだが、それができないのは寒さゆえ。