皆既月食中の月に天王星が隠されるという極めて稀な現象で、空間的には太陽・地球・月・天王星の4天体が一直線に並ぶことになる。写真は天王星の潜入時もので、月と天王星のサイズの違いがよく分かる。
この現象について報道では「前回は440年前で次回は324年後です」と言っていたが、実はこれは日本で見られる皆既月食中の惑星食についてである。日本に限定しなければもっと頻度は上がるだろうし、天王星食に限定すればもっと頻度は低いだろう。話の前提条件を正確に認識しておくというのは大事だ。つい最近、国立天文台の広報室にお勤めの方が執筆された天文台の電話番という本を読んだ。それによるとこういった現象の前にはマスコミから広報室に「前回はいつですか?次回はいつですか?」という定形的な質問が来るらしいが、その際の前提条件が不明確で、日本本土で見られた現象だけとか、実際にその地点で晴れて見られた現象に限るなどの暗黙の条件があって回答に苦労することが多いとのこと。その点、今回の現象について国立天文台が報道関係者向けに作っている解説HPにはきちんと前提条件が書かれている。
2022/11/8 20:30 at Hyogo pref. south. ATLUX + C11(F7.5 with Starizona Corrector LF) with Baader UV/IR cut, by EOS6D改(HKIR) for 4s at ISO400. 以前に「月を撮るのにいい得物がない」と言っていたのは単なる計算間違いで、シンプルに C11+6D で月がいっぱいに入るんだった。何やってんだか…。この写真の方向は北が左で、よくある天体写真の方向(北が上)とは違い、月食当日の見た目と近い方向にしている。