こぎつね座にある散開星団(NGC6823 中央左寄り)とHII領域(Sh2-86 赤い星雲)のセット。
この姿の成り立ちを知ると、写真を見るのがより面白くなると思う。
- 星間ガスが重力で収縮して複数の恒星が生まれ、散開星団ができる。
- 周囲のガスが恒星からの紫外線で電離されて赤く光る。
- 暗黒星雲は恒星からの光で削られていく(光蒸発)。暗黒星雲の中の高密度領域は浸食が遅く、その陰となった部分も浸食されずに残るため柱状構造ができる。
この柱状構造はHII領域でしばしば見られるもので、その形成過程についてはこちらの論文のFig.11が分かりやすい。柱の先端の高密度領域では星形成が行われている最中と考えられている。暗黒星雲の内部で星ができつつある場所が芯のように残って、その裏側に柱が残るイメージだ。そのためわし星雲(M16)に見られる同様の柱状構造は「創造の柱」と名付けられた。
2022/7/29 21:48-03:11JST、兵庫県北中部。ATLUX + C11(F6.3 with Starizona Corrector), L-RGB composite. RGB image by EOS6D改(HKIR) with LPS-D1 for 2min × 29subs = 58min, L image by ASI1600MM-cool(Gain200, -10℃) with NBZ for 1min × 126subs = 126min, total 3h ca. Starnet V2 & Denoise AI applied. フィルタにNBZ(= Hα+OIII)を使ったが、普通にHαフィルタで良かった気もする。比較的淡い星雲で合計露出3hでもSNR不足気味だが「柱状構造を捉える」という目的は達したかと思う。月刊天文ガイド2022/12月号落選作、まあ露出足りてないしなぁ…。もっと淡いところまで出せる星野なので、いずれ取り直そう。